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島根、喫茶店のマスターが打たれ強く生きられるまで

38歳、男。妻、3人の娘と島根の田舎で暮らしています。自営の喫茶店での出来事や日々の暮らしや思い出などの日記です。

adieu

9月24日(木)

 

そろそろ看板ができる。

本当にもうちょっとだ。

 

 

窓にはステンシル風にロゴ。

オフクロがこの店を建てた年を記念して。

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43年の歴史をこれからも、引き続き。

 

 

これから看板に文字を入れる。

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木製のオーニングも完成した。 

 

 

看板に入る文字や絵は写真やプリントではない。

全て手書きでやってもらう事になった。

 

 

デザインはお馴染みDesign Office Sukimonoさん。

実際に書いてくれるのは、

最近島根のテレビや新聞でよくみる若手画家、山藤孝哲氏。

 

話せば話すほど、打ち合わせをすればするほど、

看板が待ち遠しくなる。

 

技術も人間性も大好きな人たちと知り合えた。

俺もカミサンも感謝しっぱなしだ。

 

 

きっとタイミングが来たのだろう。

新しい日々が始まるんだ。

 

 

「喫茶」の文字が入った。

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あとはここにうちの名前が入って、

道路沿いにおおきな壁画ができれば、完成。

 

 

お客様をお迎えする準備はできた。

 

 

 

9月25日(金)

 

今日現在でピザは、通算6270枚を食べてもらったようだ。

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5年で6270枚。

当初の目標には届いた。

 

 

 

俺が神戸の店を倒産させてしまう前、

売上が毎月毎月落ちて行き始めた頃から数えれば、

ちょうど10年ほどになるか。

 

 

経営状況は最悪。

お客様に来てもらわなければ、商売にならない。

 売り上げがなければ、店は立ち行かない。

 

 

その日その日のレジを締め、売上を計算するときは悲しいのだが、

実際営業中はどうか。

 

実は営業中は「お客様が来なくて良かった・・・」とまで思うのだ。

 

 

「こんな店に来てもらってもお客様におもてなしは出来ない・・・」 

 と、売上のない期間が長ければ長いほど自分を責め、

だからお客様にお会いするのもおっくうになる。

 

 

経営が苦しい事より、自分が情けない事が辛かった。

アルコール依存もこのあたりからだったな。

 

 

お客様に来てもらう事を良しとしない店など流行るわけはなく、

当然倒産した。

 

7年間経営したが、最後の1年は、その後の10年を苦しめた。

「俺には経営者など務まらん」と。

 

 

ブログを書いて、1年9ヶ月。

一日も休まずに、自分の苦しみや喜びを素直に書いたつもりだ。

 

 

多くの人が実は自分の味方でいてくれた事。

家族は養うものではなく、一緒に頑張っていくもの。

そして自己嫌悪からは何も生まれず、

自分を信じてやるところから、全ては始まるということ。

 

少しずつ、「気づき」があった。

 

 

文章にして自分と向き合いながら、

俺もどうやら自信を取り戻せてきた。

 

 

「打たれ強く」なりたかった。

何事にも動じない男になりたかった。

 

それにはまだまだ遠いかもしれないが、

自分はそう「なれる」と信じてやれる。

 

もう「お客様に会いたくない。こんな店ダメだ」とは思わない。

この御店は、きっとお客様に喜んでもらえるお店であると信じている。

 

だから、たくさんお客様に来てもらいたい。

 

 

新しい看板は、俺の意思表明だ。

どうかみなさんにその目で見てもらいたい。

 

 

昔のように夢物語はなくなった。

5年後、10年後の目標も実は、ない。

ただ、今のこの真摯な気持のままお店をやっていけるなら、

きっともっと楽しい何かが待っている。

 

今日を一生懸命生きていこう。

 

 

 

どうか皆さんにもご来店いただきたい。

 

店の中から見える庭では、カミサンがガーデニングを。

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学校が終われば、長女と次女が仲良く遊んでいる。

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カウンターに座れば、キッチンから

「ぱぁぱ〜〜〜、牛乳ちょうだいぃ〜〜〜〜」の声も聞こえる。

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中国山地の寒村に迷い込んだ時には、

壁一面に大きく描かれた俺を探して欲しい。

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島根を代表する看板になっているぜ。

 

 

いつか、みなさんとカウンターで、

コーヒーを飲みながら、ピザつまみながら、パスタ食べながら、

落語や音楽や映画やお笑いの話をしたいと思う。

 

 

 

 

全477話。

今日まで僕の日記に付き合ってくれてありがとう。

 

 

 

打たれ強く生きるのはここからだ。

 

新しくできた看板と、

壁一面に描かれた俺が「お前ならできるよ」と言ってくれる。

 

 

さあ、新しい日々が始まるぞ。

元気で楽しく歩いていこう。

 

 

Bon Voyage。

みんなが来てくれるのを待っています。

 

 

 

島根、とある喫茶店のマスターより